社長の工場ブログ

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家具工場設立までのお話し

キッチンワークスという社名通り、弊社はキッチン(流し台)に関わることが得意な会社です。

私はもともと大手キッチンメーカーのサラリーマンとして10年以上、デベロッパーさんやゼネコンさん、設計事務所さん相手にお仕事していました。

分譲マンション、賃貸アパートや公共施設に、オーダーのキッチン・洗面等を提案・販売する仕事です。

その経験を生かして、創業した会社ですので、キッチンや洗面などの水廻りが得意なのです。

水廻り中心のリフォーム会社として、まじめにコツコツと今年で創業13年目を迎えています。

それではなぜ、家具工場(木工所)を作ることになったかは、以下の通りです。

 

近年、札幌の分譲マンションのキッチンを納入しているメーカーは3社だけです。

しかも、メーカーが違っても、木製キャビネットを作っている工場は、小樽、石狩、江別など、共通の中小の木工所で作っています。

キッチンは容量が嵩むので、本州の自社工場で作って持ってくるより、近郊の下請けの協力木工所に作らせた方が、安上がりだからです。

今のマンションはセレクトプラン(高さや色、つまみなどが選べます)が豊富で、仕様が複雑化してますので、木工所の生産性は上がりません。

ほぼ、限りなく1台ずつ作っているようなものです。

また、メーカーは滞留在庫を嫌うので、1度に生産させてくれません。

(トヨタの真似で、必要なものを、必要な時に、必要なだけ・・・下請けから納品させる方式です。)

まずは、1F~3F。来月4F~6F。・・・・という感じです。

昔のマンションの作りは単純で、色が1色、タイプはLとRだけで100台・・・という感じで、一度に作ることも出来ました。

このように生産性が上がらず、手間が増えるのに、単価は下がっています。

メーカー間の受注競争が激しいのと、生産量を確保するにはキッチンメーカーに頼らざるえないのです。

当然、中小の木工所の中には、持ちこたえられずに廃業したり倒産する会社が出てきます。

 

キッチンワークスが、製作を依頼してた木工所も昨年6月をもって、廃業となったのです。

私がキッチンメーカーに入社して以来、20年以上お付き合いしていただいた会社です。

既に、全盛期に比べ縮小していたとはいえ、立派な木工機械と熟練した工場スタッフ、そしてなにより、品質の優れた製品作りが出来ていました。

木工所の運営には、機械だけでなく、熟練した工場運営スタッフが欠かせません。

当然、廃業ですので、熟練した作業者と木工機械は不要となります。

キッチンワークスにとっても大きな痛手です。

この会社を失うことは、札幌経済にとっても大きな損失であると思いました。

廃業が決まってから、弊社で引き取れないかすぐに検討しました。

しかし、当時、弊社からの発注額だけで、養えるほど仕事量はありませんでした。

人件費と工場家賃を賄うのに、最低でも、今までの5倍の仕事量の確保が必要でした。

常識的に考えると、工場運営は採算確保が厳しく、最悪、共倒れのリスクがありました。

経営者として、社員たちやその家族を路頭に迷わすことは出来ません。

数日、寝れないほど本当に悩みましたが、最後は、「何とかなるだろう!!」と決めました。

「何とかなるだろう」の根拠は、いくつかありましたが、最大の根拠は、「売る力を持っている」ことでした。

普通の木工所には営業マンがいません。与えられた仕事を与えられた価格・納期でやるだけです。

しかし、キッチンワークスには、オーダー収納家具の知識と経験が豊富でそれを適正価格で売ってこれるスタッフが揃っています。

また、自社工場を持つことは、他リフォーム会社との提案力や施工力、価格競争に絶対的優位性を確保できます。

キッチンメーカー時代の遺産で、資材メーカーやパーツメーカーから多くのバックアップも頂いています。

工場稼働後、ほぼ半年経ちましたが、様々な皆様のご協力をいただくことが出来、順調に生産量を伸ばしています。

まだ、利益が出る水準には届きませんが、「何とかなりそう」な感じがしてきました。

リフォーム業界は異業種の新規参入などで、競争が激しいですが、他社とは違う独自性を出すことで、何とか生き残っていきたいと考えています。

これからは、この新しいホームページでどんどん情報発信して、新時代の木工所スタイルを確立していければいいと考えています。

 

平成28年1月29日  荒井 俊吉


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